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イベントアクション機能: (3) アクション機能

はじめに

前回までに、イベントアクション機能の概要と指定できる「イベント」の種類について紹介しました。
今回はFITELnet Fシリーズのイベントアクションでサポートしているイベント種別を紹介します。イベントアクションのもう一つの要である「アクション」の機能について紹介します。
「アクション」の種類を紹介する前に、アクション機能を整理しておきましょう。

  • Activate
    アクションを「発動させる」状態。
  • Inactivate
    アクションを「解除させる」状態。

また、アクションによって以下の2つのイベント種別があります。

  • One-shot
    イベントの状態がTrueとなったタイミングでアクションの状態がActivateとなってアクションが発動する。
  • State-change
    イベントの状態がTrueとなったタイミングでアクションの状態がActivateとなってアクションが発動し、Activateの状態が継続する。
    イベントの状態がFalseとなったタイミングでアクションの状態がInactivateとなってアクションの状態が解除される。

例)

  • One-shot
    イベントの状態がTrueになったらIPsecセッションを切断する。その後は、IPsec確立の契機で確立する。
  • State-change
    イベントの状態がTrueになったらIPsecセッションを切断し、切断状態を継続する。イベントの状態がFalseになったら、その後IPsec確立の契機で確立する。

それでは、アクションの種類を紹介していきましょう。

アクションの種類 (One-shot)

  • IPsecセッション切断
    Activateになったら指定したIPsecセッションを切断します。切断後は、イベントの状態に関わらず、IPsecセッションの確立は可能です。
  • USB電源供給OFF→ON
    Activateになったら、USBデバイスへの電源供給をOFFし、10秒後に電源供給を再開します。
  • モデムデバイスの再初期化
    Activateになったら、モデムデバイスの再初期化を行います。
  • 電子メール通知
    電子メールのサブジェクトおよび本文は指定可能です。
  • SNMPトラップ送出
    Activateになったら、SNMPトラップを送出します。イベントアクションMIBについては、後日のblogで紹介する予定です。
  • 装置再起動
    Activateになったら、装置を再起動します。

アクションの種類 (State-change)

  • 経路追加
    Activateになったら経路情報を追加し、Inactiveになったら追加した経路情報を削除します。現ファームウェアでは、IPv4経路情報のみを取り扱うことができます。
    一度追加した経路情報は、Inactiveとなった場合でも削除しないという使い方も可能です。
    ※ワンポイント
    追加した経路情報は、「event-action」経路として経路情報に登録されます。この経路情報を、他のルーティングプロトコルで広告したい場合は、他のルーティングプロトコル設定で、redistribute event-actionと設定します。
  • Ethernetポートのリンクダウン
    Activateになったら指定した指定したEthernetポートをリンクダウンし、Inactivateになったらリンクアップします。
  • VRRP制御
    ActivateになったらVRRPプライオリティー値を減算し、Inactivateになったらプライオリティ値を戻します。
  • L2中継ポートの変更
    ActivateになったらL2中継ポートを選択するプライオリティー値を減算し、Inactivateになったらプライオリティ値を戻します。
    L2中継の冗長機能については、後日のblogで紹介します。
  • IPsecセッション使用不可状態
    Activateになったら指定したIPsecセッションを使用不可状態にし、Inactivateになったら使用不可状態を解除します。
    自身からの接続はもちろん、相手からの接続も拒否します。
  • L2TPv3セッション使用不可状態
    Activateになったら指定したL2TPv3セッションを使用不可状態にし、Inactivateになったら使用不可状態を解除します。
    自身からの接続はもちろん、相手からの接続も拒否します。
  • ICMP監視の中断
    Activateになったら指定したICMP監視を中断し、Inactivateになったら再開します。
  • QoS制御変更
    Activateになったら、QoS機能で参照するフラグをONにし、InactivateになったらフラグをOFFにします。
    例えば、QoS動作として、フラグがONの場合は 100Mbpsでシェーピングするが、フラグがOFFの場合は10Mbpsでシェーピングする設定をしておき、イベントアクション機能でそのフラグを操作することで動的にQoSの動きを変更することができます。
  • IGMP-Proxy機能制御
    Activateになったら up-streamとしての動作を停止し、Inactivateになったら動作停止を解除します。

次回は、いよいよ、イベントアクションを使った、便利なユースケースを紹介します。