はじめに
前回までに、イベントアクション機能の概要と指定できる「イベント」の種類について紹介しました。
今回はFITELnet Fシリーズのイベントアクションでサポートしているイベント種別を紹介します。イベントアクションのもう一つの要である「アクション」の機能について紹介します。
「アクション」の種類を紹介する前に、アクション機能を整理しておきましょう。
- Activate
アクションを「発動させる」状態。 - Inactivate
アクションを「解除させる」状態。
また、アクションによって以下の2つのイベント種別があります。
- One-shot
イベントの状態がTrueとなったタイミングでアクションの状態がActivateとなってアクションが発動する。 - State-change
イベントの状態がTrueとなったタイミングでアクションの状態がActivateとなってアクションが発動し、Activateの状態が継続する。
イベントの状態がFalseとなったタイミングでアクションの状態がInactivateとなってアクションの状態が解除される。
例)
- One-shot
イベントの状態がTrueになったらIPsecセッションを切断する。その後は、IPsec確立の契機で確立する。 - State-change
イベントの状態がTrueになったらIPsecセッションを切断し、切断状態を継続する。イベントの状態がFalseになったら、その後IPsec確立の契機で確立する。
それでは、アクションの種類を紹介していきましょう。
アクションの種類 (One-shot)
- IPsecセッション切断
Activateになったら指定したIPsecセッションを切断します。切断後は、イベントの状態に関わらず、IPsecセッションの確立は可能です。
- USB電源供給OFF→ON
Activateになったら、USBデバイスへの電源供給をOFFし、10秒後に電源供給を再開します。
- モデムデバイスの再初期化
Activateになったら、モデムデバイスの再初期化を行います。
- 電子メール通知
電子メールのサブジェクトおよび本文は指定可能です。
- SNMPトラップ送出
Activateになったら、SNMPトラップを送出します。イベントアクションMIBについては、後日のblogで紹介する予定です。
- 装置再起動
Activateになったら、装置を再起動します。
アクションの種類 (State-change)
- 経路追加
Activateになったら経路情報を追加し、Inactiveになったら追加した経路情報を削除します。現ファームウェアでは、IPv4経路情報のみを取り扱うことができます。
一度追加した経路情報は、Inactiveとなった場合でも削除しないという使い方も可能です。
※ワンポイント
追加した経路情報は、「event-action」経路として経路情報に登録されます。この経路情報を、他のルーティングプロトコルで広告したい場合は、他のルーティングプロトコル設定で、redistribute event-actionと設定します。
- Ethernetポートのリンクダウン
Activateになったら指定した指定したEthernetポートをリンクダウンし、Inactivateになったらリンクアップします。
- VRRP制御
ActivateになったらVRRPプライオリティー値を減算し、Inactivateになったらプライオリティ値を戻します。
- L2中継ポートの変更
ActivateになったらL2中継ポートを選択するプライオリティー値を減算し、Inactivateになったらプライオリティ値を戻します。
L2中継の冗長機能については、後日のblogで紹介します。
- IPsecセッション使用不可状態
Activateになったら指定したIPsecセッションを使用不可状態にし、Inactivateになったら使用不可状態を解除します。
自身からの接続はもちろん、相手からの接続も拒否します。
- L2TPv3セッション使用不可状態
Activateになったら指定したL2TPv3セッションを使用不可状態にし、Inactivateになったら使用不可状態を解除します。
自身からの接続はもちろん、相手からの接続も拒否します。
- ICMP監視の中断
Activateになったら指定したICMP監視を中断し、Inactivateになったら再開します。
- QoS制御変更
Activateになったら、QoS機能で参照するフラグをONにし、InactivateになったらフラグをOFFにします。
例えば、QoS動作として、フラグがONの場合は 100Mbpsでシェーピングするが、フラグがOFFの場合は10Mbpsでシェーピングする設定をしておき、イベントアクション機能でそのフラグを操作することで動的にQoSの動きを変更することができます。
- IGMP-Proxy機能制御
Activateになったら up-streamとしての動作を停止し、Inactivateになったら動作停止を解除します。
次回は、いよいよ、イベントアクションを使った、便利なユースケースを紹介します。